受賞作品AWARD

第17回受賞作品(2023年受賞)

このコンクールは、日本国内はもちろん世界各国のばら育種家から毎年新品種の香りのばらを公募し、積雪・寒冷地である当公園において2年間同じ条件の下で育てられます。そして、2年目の春と秋にばらや香りの専門家で構成される審査委員会によって厳正な審査が行われ、受賞品種が決定されます。

各賞として、4つに区分された応募対象品種毎に金賞・銀賞・銅賞が授与される他、特別賞として、金賞を受賞した品種のうち最高得点を得た品種に「国土交通大臣賞」、金・銀・銅賞を受賞した品種のうち「香り」部門での最高得点を得た品種に「新潟県知事賞」、また、一般来園者による人気投票で最も得票の多かった品種に「長岡市長賞」が授与されます。

令和3年度に7ヶ国26人の作出者から出品された55品種について、令和5年春・秋の審査を経て下記のとおり、第17回コンクール受賞品種が決定しましたので、お知らせいたします。

HT(ハイブリッド・ティー)系
  Entry No. 品種名 作出者
金賞  13 アローム ディヴァン Georges Delbard(フランス)
銀賞 9 エンファシス 富吉 紀夫(埼玉県さいたま市)
銅賞 11 ラフ・メイカー 忽滑谷 史記(埼玉県飯能市)
F(フロリバンダ)系
  Entry No. 品種名 作出者
金賞 27 雨ニモマケズ・ノースアイボリー 吉池 貞藏(岩手県花巻市)
銀賞 34 リラ・トロプフェン W. KORDES’ SÖHNE Rosenschulen GmbH & Co KG
(ドイツ)
銅賞 26 レ・グラン・ビュッフェ Dorieux(フランス)
S(シュラブ)系
  Entry No. 品種名 作出者
金賞/国土交通大臣賞 43 アローム 望月 宏(静岡県静岡市)
銀賞/新潟県知事賞/長岡市長賞 41 ロビン 木村 卓功(埼玉県北葛飾郡杉戸町)
銅賞 51 サイラス・マーナー David Austin(イギリス)
Min(ミニチュア)系
  Entry No. 品種名 作出者
金賞 該当なし
銀賞 55 こんぺいとう 河本 麻記子(岐阜県揖斐郡大野町)
銅賞 54 ザックローヌ 望月 宏(静岡県静岡市)

HT(ハイブリット・ティー)系

金賞
Entry No. 13
品種名 アローム ディヴァン
作出者 Georges Delbard (フランス)
花の特徴 淡いピンク色のロゼット咲き。HT本来の一茎一花となる。
香りのタイプ ミルラ
~蜂蜜様の甘さと上品な紅茶葉様の香りに刺激的なアニスの香りが合わさった香り~
15-16829-02
15-16829-02
銀賞
Entry No. 9
品種名 エンファシス
作出者 富吉 紀夫(埼玉県さいたま市)
花の特徴 季節により深紅から赤紫色になる。半剣弁咲き。
香りのタイプ ダマスク・モダン
~ライチ、ラズベリー、アプリコットの甘さとヒヤシンスグリーンの爽やかな香りが調和した濃厚な香り~
エンファシス
エンファシス
銅賞
Entry No. 11
品種名 ラフ・メイカー
作出者 忽滑谷 史記(埼玉県飯能市)
花の特徴 薄紫がかるピンク色で、花弁数の多い抱え咲き。
香りのタイプ ブルー
~爽やかなレモン、アップルの香りに蜜様の甘さと乾いた紅茶葉の香りが調和した芳醇な香り~
ラフ・メイカー
ラフ・メイカー

F(フロリバンダ)系

金賞
Entry No. 27
品種名 雨ニモマケズ・ノースアイボリー
作出者 吉池 貞藏(岩手県花巻市)
花の特徴 クリームイエロー色で、ボタンアイとなるロゼット咲き。
香りのタイプ ティー
~華やかなダージリンティーの香りに爽やかなレモンとバイオレットの花を合わせた香り~
銀賞
Entry No. 34
品種名 リラ・トロプフェン
作出者 W. KORDES’ SÖHNE Rosenschulen GmbH & Co KG(ドイツ)
花の特徴 パープルピンク色で、カップ咲き。春は特に多花性。
香りのタイプ ダマスク・モダン
~爽やかな若葉と蜂蜜様の香りが特徴的な落ち着きのある香り~
銅賞
Entry No. 26
品種名 レ・グラン・ビュッフェ
作出者 Dorieux(フランス)
花の特徴 アンズ色から丸弁で波打つ外弁は薄桃色に変わる。多花性で優美な花容のロゼット咲き。
香りのタイプ ティー
~穏やかな紅茶葉の香りに爽やかな若葉とフローラルな甘さがある香り~

S(シュラブ)系

金賞/ 国土交通大臣賞
Entry No. 43
品種名 アローム
作出者 望月 宏(静岡県静岡市)
花の特徴 淡ピンク色で、裏弁がやや濃い色の個性的な花容。抱え咲きからカップ咲きに変化する。
香りのタイプ ダマスク・モダン
~拡がりのあるアップル、アプリコットの香りにれんげ草の蜜様の甘さが感じられる透明感のある香り~
銀賞 / 新潟県知事賞 / 長岡市長賞
Entry No. 41
品種名 ロビン
作出者 木村 卓功(埼玉県北葛飾郡杉戸町)
花の特徴 朱赤の蕾から咲き進むに連れてアンズ色から淡ピンク色に色彩が変化する。丸弁抱え咲き。
香りのタイプ フルーティ
~上品な紅茶葉様の香りに明るく親しみのあるアプリコット、アップル、オレンジのフルーツが広がる香り~
銅賞
Entry No. 51
品種名 サイラス・マーナー
作出者 David Austin(イギリス)
花の特徴 赤いサンゴ色の茎に淡いピンク色の透けるように薄い花弁の花で、浅いカップ咲きからロゼット咲きになる。
香りのタイプ ダマスク・クラシック
~ヒヤシンスグリーンの爽やかさに優しいフローラルな甘さを備えた香り~

Min(ミニチュア)系

銀賞
Entry No. 55
品種名 こんぺいとう
作出者 河本 麻記子(岐阜県揖斐郡大野町)
花の特徴 淡いピンク色から白くぼける。クォーターロゼット咲きの平咲きで、花序全体で華やかなポンポン状となる。
香りのタイプ ティー
~柔らかな紅茶葉様の香りに蜜様の甘さとクローブ様のスパイスが特徴的な香り~
銅賞
Entry No. 54
品種名 ザックローヌ
作出者 望月 宏(静岡県静岡市)
花の特徴 紫がかるピンク色で、咲き進むと外弁が剣弁となり、満開時にはロゼット咲きとなる。
香りのタイプ ダマスク・クラシック
~紅茶葉様の香りにマスカットとフローラルな甘さが程よく調和した香り~

審査講評

審査委員長:岐阜県立国際園芸アカデミー客員教授 上田 善弘

第17回の出品点数は55品種で、ハイブリッド・ティー(HT)系統が21品種、フロリバンダ(F)系統が17品種、シュラブ(S)系統が14品種、ミニチュア(Min)系統が3品種とHT系統の出品が多いのが特徴でした。本年は、春の開花が例年より早かったのに対し、夏の異常な高温と長引く残暑、さらには8月の少雨により、秋の開花は遅れました。また、秋の開花では害虫の異常発生もみられました。そのような状況下で育ったバラについて、HT、FおよびS系統の各系統で金、銀、銅を各1点ずつ、Min系統で銀と銅1点ずつを選びました。また、来園者の投票により長岡市長賞はS系統から選ばれました。

S部門の金賞で国土交通大臣賞の‘アローム’は、淡ピンクの裏弁がやや濃い色の抱え咲きからカップ咲きになる個性的な花で、樹勢の強い品種でした。

HT部門金賞の‘アローム ディヴァン’は、淡いピンク色のロゼット咲きの花で、HT本来の一茎一花となり、株全体がブーケのように花を付ける品種でした。

F部門金賞の‘雨ニモマケズ・ノースアイボリー’は、さわやかなクリームイエロー色のボタンアイとなるロゼット咲の花で、バランスのとれた品種でした。

Min部門銀賞の‘こんぺいとう’は、淡いピンクから白くなるクォーターロゼット平咲きの花で、花序全体で華やかなポンポン状となる品種でした。

新潟県知事賞と長岡市長賞を両賞受賞したS系統‘ロビン’は、朱赤の蕾が咲き進むにつれてアンズ色から淡いピンク色に色彩が変化する丸弁抱え咲きの花で、香りの強さ・質ともに高く、生育力旺盛な品種でした。その色合いの変化と香りが来園者の人気を博し、長岡市長賞を受賞したと思われます。

審査副委員長:パフューマー 市川 祐司

第17回コンクールは、海外と国内を合わせて55品種の出品でした。今回は夏から秋にかけて40℃近くにもなる猛暑と極端に降雨が少ない異常気象のためバラにとって厳しい一年でしたが、全部門で金賞3品、銀賞4品、銅賞4品の合計11品の入賞花を選ぶことができました。入賞花の香りの系統はダマスク・モダン系3品、ダマスク・クラッシク系2品、ティー系3品、フルーティ系1品、ブルー系1品、ミルラ系1品と幅広い香りが選ばれました。

ハイブリッド・ティー部門の金賞を受賞した品種名‘アローム ディヴァン’の香りはミルラ系で、「蜂蜜様の甘さと上品な紅茶葉様の香りに刺激的なアニスの香りが合わさった香り」です。

フロリバンダ部門の金賞を受賞した品種名’雨ニモマケズ・ノースアイボリー‘の香りはティー系で「華やかなダージリンティーの香りに爽やかなレモンとバイオレットの花を合わせた香り」です。

シュラブ部門の金賞と総合最高得点の国土交通大臣賞を受賞した品種名‘アローム‘の香りはダマスク・モダン系で、「拡がりのあるアップル、アプリコットの香りにれんげ草の蜜様の甘さが感じられる透明感のある香り」です。

また、シュラブ部門の銀賞と香り部門の最高得点の新潟県知事賞及び人気投票で選ばれる長岡市長賞を受賞した品種名’ロビン‘はフルーティ系で「上品な紅茶葉様の香りに明るく親しみのあるアプリコット、アップル、オレンジのフルーツが広がる香り」です。

今回はミニ系の金賞に該当品はありませんでしたが、銀賞を受賞した品種名‘こんぺいとう’の香りはティー系で「柔らかな紅茶葉様の香りに蜜様の甘さとクローブ様のスパイスが特徴的な香り」です。