受賞作品AWARD

第6回受賞作品(2012年受賞)

「国際香りのばら新品種コンクール」は、日本国内はもちろん世界各国のばらの育種家から、毎年新品種の香りのばらを公募し、この積雪・寒冷地である当公園において2年間同じ条件の下で育てられ、その後、ばらや香りの専門家で構成される審査委員会によって、2年目の春と秋とに審査が行われ、その年の受賞品種が決定されます。

各賞として、4つに区分された応募対象品種毎に金賞・銀賞・銅賞が授与される他、特別賞として、金賞を受賞した品種のうち最高得点を得た品種に「国土交通大臣賞」、金・銀・銅賞を受賞した品種のうち「香り」部門での最高得点を得た品種に「新潟県知事賞」、また、一般来園者による人気投票で最も得票の多かった品種には「長岡市長賞」が授与されます。

HT(ハイブリット・ティー)系

金賞 / 国土交通大臣賞 / 新潟県知事賞
Entry No. 16
品種名 夜来香(イエライシャン)
作出者 青木 宏達(岐阜県)
花の特徴 中輪咲きで、丸弁の親しみやすい花形。ブルーの香りに合う上品な藤色は芯の部分から外へ、淡い色へとグラデーションとなる。
香りのタイプ ブルー
~深みのあるブルーローズの香りに爽やかな柑橘系のベルガモットとフルーティな甘さが感じられる明るく洗練された香り~

銀賞 / 長岡市長賞
Entry No. 15
品種名 サラスヴァティー
作出者 寺西 菊雄(兵庫県)
花の特徴 白色で中心部分のピンクがとても美しい。全体的なバランスに優れたオーソドックスな品種で、女性的なふくよかさと柔らかさを感じさせる。
香りのタイプ ダマスク・クラシック
~軽やかで親しみのあるバラの香りにグリーンやフルーティのアクセントを持つ繊細で上品な香り~

銅賞
Entry No. 17
品種名 レディー絵里(えり)
作出者 大月 啓仲(神奈川県)
花の特徴 人目を引く鮮やかな紫紅色で、花弁の裏がややうすい。蕾の姿が整って美しく、開花するとあでやかな姿となる。
香りのタイプ ダマスク・クラシック
~華やかな甘さのあるバラらしい香りにヒアシンスやゼラニウムなどのシャープなグリーン様香気を持つ明るくフレッシュな香り~

F(フロリバンダ)系

銀賞
Entry No. 26
品種名 アイズ・フォー・ユー
作出者 Peter J. James(イギリス)
花の特徴 白から淡ラベンダー色の花弁で、花芯に濃赤紫色のブロッチが入り、花弁の色との調和がよい。新奇性のある魅力的な花。
香りのタイプ スパイシー
~こくのあるクローブ調のスパイシーにヒアシンスグリーンやヘリオトロープとバニラの甘さを持つ華やかで濃厚な香り~

銅賞
Entry No. 25
品種名 ベルベティ・トワイライト
作出者 河合 伸志(千葉県)
花の特徴 房咲き性はやや弱いが、青みを帯びた深紅色で、しっかりとした弁質で弁端が波打つ姿が美しい。
香りのタイプ ダマスク・モダン
~ダマスク系の軽やかな甘さのバラの香りにヒアシンスグリーンやオレンジのアクセントを持つ爽やかで透明感のある香り~

S(シュラブ)系

金賞
Entry No. 42
品種名 風香(ふうか)
作出者 吉池 貞藏(岩手県)
花の特徴 暖かみのある柔らかいアプリコット色の花で、蕾から散るまでの花色の移ろいが美しい。開ききった状態では朱鷺色(ときいろ)となる。
香りのタイプ ダマスク・クラシック
~蜜のような甘さのあるバラの香りにティーやグリーンのアクセントがバランスよく調和した重厚な香り~

銅賞
Entry No. 46
品種名 イングランズ・ローズ
作出者 David J.C. Austin(イギリス)
特性 燃えるような赤桃の花色が、弁の外側で淡くなる。ロゼット咲きで、多彩な表情をみせる。ブーケ状の房咲きとなる。
香りのタイプ ダマスク・クラシック
~甘くパウダリーなバラの香りにリーフィーグリーンやクローブ調のスパイシーのアクセントを持つ華やかな香り~

Min(ミニチュア)系

該当なし

審査講評

審査委員長:岐阜県立国際園芸アカデミー学長 上田 善弘

第6回の出品点数は48点で、ハイブリッド・ティー系統が23点、フロリバンダ系統は14点、シュラブ系統が9点、ミニチュア系統が2点とハイブリッド・ティー系統が多いのが特徴でした。

本年は積雪が多く雪解けが遅れたため、春の開花が遅れ、また、残暑が非常に厳しく長く続いたため、秋は早く開花してしまうもの、シュートが伸長してこないものや花が少なく株だけが繁るような異常な生育をするものがみられました。そのような気候条件のなか、春と秋の2回の審査を行い、ハイブリッド・ティー系統で金、銀、銅の3点、フロリバンダ系統で銀、銅の2点、シュラブ系統で金、銅の2点、すべての系統を合わせ、金賞2点、銀賞2点、銅賞3点を選定しました。

ハイブリッド・ティー部門の金賞品種‘夜来香(イエライシャン)’は藤色の上品な花色で、出品品種中、最高得点で、特に香り点が高く、香りの強さ、質ともに最も高い品種でした。また、生育力、耐候性にも優れていて、全体的なバランスの良さが評価されたものと思われます。シュラブ部門の金賞品種‘風香(ふうか)’は香り点が高く、また、花の美しさが最高得点で、アプリコット色の花色が開花とともに移ろう美しさが評価されました。フロリバンダ部門の銀賞品種‘アイズ・フォー・ユー’はこれまでにない花芯にブロッチが入る品種で、花弁の色とブロッチとの調和がよく香りも高いことから、その魅力と新奇性が高く評価されました。ハイブリッド・ティー部門の銀賞品種‘サラスヴァティー’は淡いピンクの花色に香りの質も高く、樹形も含めて全体的なバランスに優れたところが評価されました。また、‘サラスヴァティー’は長岡市長賞も受賞し、花色の美しさとふくよかな花形が来場者に好感を持たれたためと思われます。

審査副委員長:パフューマー 市川 祐司

第6回コンクールは、海外と国内を合わせて48品の出品がありました。今年の夏の猛暑、降雨量の少なさなど天候不順の影響なのか、入賞数が昨年より2点減って、金賞2点、銀賞2点、銅賞3点でした。しかしながら、入賞した香りのレベルは高く、品種区分別香り得点ではハイブリッド・ティーが高く、シュラブ、フロリバンダ、ミニチュアの順でした。

入賞花の内、金賞で国土交通大臣賞と新潟県知事賞をトリプル受賞したハイブリッド・ティーの品種名‘夜来香(イエライシャン)’は香りの強さ、香りの良さ共に最高点を獲得しました。香りのタイプは、ブルー系で、「深みのあるブルーローズの香りに爽やかな柑橘系のベルガモットとフルーティな甘さが感じられる明るく洗練された香り」でした。

シュラブの金賞の品種名‘風香(ふうか)’は、香りのタイプは、ダマスク・クラシック系で「蜜のような甘さのあるバラの香りにティーやグリーンのアクセントがバランスよく調和した重厚な香り」でした。

なお長岡市長賞と同時に銀賞を獲得した品種名‘サラスヴァティー’ は 「軽やかで親しみのあるバラの香りにグリーンやフルーティのアクセントを持つ繊細で上品な香り」でした。

(参考資料)第6回 国営越後丘陵公園「国際香りのばら新品種コンクール」について

募集要項
1. 応募者の資格

ばらの育種に関して国内・国外及びプロ・アマチュアを問わない。

2. 応募対象品種

(1) 応募対象品種の資格

未発売の品種あるいは2005年1月1日以降に発売された品種

(2) 応募対象品種区分

(3) 1品種当たりの募集本数

1品種当たり4本(苗は接木した3年生苗まで認める。)

3. 参加料

無料

募集期間

2010年4月から2011年3月

審査年月日

春:2012年6月6日~22日  秋:2012年10月2日~22日

審査委員
委員長 上田 善弘 岐阜県立国際園芸アカデミー学長
副委員長 市川 祐司 パフューマー
審査委員 石川 直樹 新潟ばら会 会長
森相 欣一 パフューマー
野村 和子 NPOバラ文化研究所 副理事長
渡辺 修治 静岡大学創造科学技術大学院教授
御巫 由紀 千葉県立中央博物館 主任上席研究員
安倍  豊 埼玉ばら会 名誉会長
石黒 秀子 ばら研究家・音楽学院主宰
高木 絢子 園芸研究家・NHK趣味の園芸講師・NPOバラ文化研究所理事
前川 美伸 ガーデン・デザイナー
大久保 直美 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所 主任研究員
永野 純子 高砂香料工業(株)研究開発本部フレグランス研究所 パフューマー
八橋 義昭 国営越後丘陵公園事務所長(データ管理)
各賞
出品内訳
出品者数22人(国内11人・海外11人)
参加国7ヶ国(日本・イギリス・デンマーク・フランス・ドイツ・スイス・ルーマニア)
出品数48品種
ハイブリッド・ティー系 23品種
フロリバンダ系 14品種
シュラブ系 9品種
ミニチュア系 2品種